2014年6月6日金曜日

企業向けモバイルアプリ導入のポイント

いくつか企業向けモバイルアプリ導入に関わってきましたが、そこで得たポイントを書きたいと思います。

1. Systems of RecordよりSystems of Engagement。ERPなどの基幹系よりは、顧客に近い部分の仕組みをモバイル化のターゲットにする


ERPで処理する、最終的なヒト・モノ・カネのレコードを扱う業務は、すでに出来上がっており、社内でPC (社外でもノートPC) 利用で十分なことの方が多いです。
経営層は、モバイルアプリ導入をコストかけてやることに関しては、売り上げが向上したり、業務が効率化する(手間が減る、ミスが減る)ことでないと投資が難しいと感じています。
どちらかというと、より顧客に近いCRMなどの仕組みや、現在システム化されていない業務部分をモバイル化する方が、導入効果が出やすいです。


2. スマートフォンの機能を活用する。カメラ、GPS、音声など


例えばカメラで写真撮ったり、商品のQRコードを撮ったり、GPSなりiBeaconで場所の情報を得たりして、モノやコトを即デジタル化。また情報を他者と共有、です。
ただ、これを実施するにはiOSなりAndroidなりデバイスに特化した開発を行う必要があります。MEAPと呼ばれる各ITベンダが出しているモバイルプラットフォームだけでは実装は難しくなります。


3. 導入の計画を立てておく。ユーザ教育も忘れずに


一気にモバイルアプリを作成して使ってもらおうとしても、導入はうまくいかないことの方が多いです。
例えば、以下のステップです。
  1. 標準アプリの業務開放を実施 (メール/スケジュール/連絡帳等)
  2. 定番アプリの業務開放を実施 (社内ドキュメント共有、社内メッセージング、社内SNS等)
  3. 業務で利用できるアプリを作成
  4. 顧客が利用できるアプリを作成 (iOS なり GooglePlay にのせる)
あと、エンドユーザへの教育/展開は念入りに。スマホリテラシーが低い方も部署によって多いです。企業アプリを展開する際にスマホ自体の教育も併せて実施したほうが良いです。


4. モバイルアプリ開発は要件とUXデザインを最初に決めてあまり変化を起こさせない


実際のアプリ開発は、イテレーティブなインプリとします。ただし、アジャイル一辺倒ではなく、まずは要件とUXデザインは最初に決めてあまり変化を途中で起こさせないようにすることがポイントです (かなり迷走します)。シンプルイズザベストです。
要件確認後の開発サイクルは2~4週間で3回。例えば「70-20-10のルール」で、100人日の工数なら70-20-10に分けて、以下の方針です。
  1. 70: 機能性を満たす
  2. 20: UXを満たす (UX微調整)
  3. 10: バグ修正、最終化
また、非機能要件テスト(通信状況悪い場所でのテスト、パフォーマンステストなど)で多めに期間(+工数)積むことがお勧めです。デスクトップWebアプリより難しいです。


5. 運用に注意


iOSやAndroidはOSのバージョンアップが早く、またユーザ側はすぐバージョンアップを実施してしまいます。バージョンアップに対しての方針を策定しておくことが必要です (ITが検証しない限り、バージョンアップしないようにする、等)。
またネイティブアプリを利用している場合はアプリの配信にも注意です。いそがしいユーザは最新のアプリをダウンロードしてくれません。ITベンダが提供しているMDMなり、キャリアがオプションで提供しているMDMサービス(auやSoftBankは持っています)を利用し、常に最新のものを配信することを心掛けることが必要です。 

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